2015-01-20
望月通陽さんの「方舟に積むものは」という本を
夕方、何気なく開く。
「漕ぎゆく人」というタイトルのエッセイで、モランディの美術館に
ついて書かれています。
その文章を読んですっかりモランディに心が揺さぶられてしまいました。
モランディ美術館で購入した図録を久しぶりに開きながら、
その確かな仕事に感動を覚えます。
(まずい、まずい休憩が長くなってると思いながら。)
2012年にイタリア旅行に行った際、ボローニャにあるモランディの
美術館に一緒に行こうと、同行者の方に誘っていただきました。
何気なく入ったその美術館に、これほど人を魅了する作品たちが
待っているとは思ってもみませんでした。
昼食を挟んで、1日に2度も行ってしまったほどです。
自宅のダイニングには、この時に購入したポスターを額装して飾っています。
そして事務所の机の前にもポストカード。
聖なるもの、拠り所になるものとして、勝手な思いで毎日眺めています。
画家の色の扱い・感覚というのは、建築家における材料や素材の扱い・選定に
似ているような気がします。
そんなことを考えながら、モランディについて書かれた本を読んでいると、
「モランディはすでに早いころから、伝統的に使われてきた天然の土性顔料を好み、
近代的な人工の絵の具は避けていたのである。シエナ土、焦土、オーカー、赤土、アンバー、
緑土、鉛白、ウルトラマリンなどがモランディのパレットに並ぶ顔料であった。」
これを読んで、色そのものも考えてみれば素材・材料であって、その好みがモランディの絵の
醸し出す雰囲気を作っているのかと考えられます。
建築では無いものから学ぶことは本当に多いな、と思いながら、長い休憩時間が過ぎて
いきました。