修学院離宮 借景の向こうにあるもの

2026.01.23

寒気の影響を受け、冷え込む朝の京都です。
本日の最低気温は氷点下二度。訪れた修学院離宮では、浴龍池(よくりゅうち)の水面も薄く凍っていました。前日に少し雪が降ったので、もし昨日であれば雪景色の中での観覧になっていたかもしれません。とはいえ本日も十分に冷え込み、空気は凛と澄みきっています。その静けさの中で、雄大な回遊式庭園をゆっくりと巡りました。

修学院離宮は三つの離宮(御茶屋)から成り、山林や田畑を含めると総面積は54万5千平方メートルを超えます。庭の中には水田も風景として取り込まれており、自然と人の営みが違和感なく同居しています。桂離宮に遅れること三十余年、御水尾上皇によって造営された離宮です。

こちらは桂離宮よりも自宅や事務所にさらに近く、九時から始まった観覧を終えて事務所に戻ったのは十時二十分でした。この距離であれば、いつでもふらりと来られるなあと思います。ガイドさんが勧めてくれた紅葉の頃も良さそうですが、何よりも田植えが終わった季節の夕方、仕事の合間に立ち寄ってみたいと想像が膨らみます。見学の後、事務所の屋上でビールを一杯。そんな時間があれば、なかなかの至福ではないでしょうか。

見学は予約制ですが、修学院離宮は皇室用財産、つまり国有財産です。少し飛躍して考えてみると、この離宮を「皆で所有している」ような気持ちにもなってきます。そう思うと、なんとも贅沢なことです。

明治期に宮内省の所管となるまでは、離宮を囲む垣根は全周には設けられておらず、借景の技法を用いて自然に対して大きく開かれた山荘であったそうです。巧みに雄大な景観を取り込んだこの庭園を歩きながら、所有することとは何か、その関係性について考えさせられる時間となりました。季節を変えて、また何度でも訪れたい離宮です。

吉田 隆人