自宅からほど近い京都御苑の中にある、仙洞御所と大宮御所を訪ねてきました。これまで何度も、築地塀の外からその存在を感じながら通り過ぎていましたが、その内側にこれほど豊かな庭が広がっているとは、正直なところ想像もしていませんでした。
仙洞御所は、皇位を退かれた天皇のための御所で、1630年に完成したといわれています。庭園は小堀遠州による作庭で、現在は改修や拡張を経て、当時の遺構が一部残るかたちとなっています。昨年、遠州作の茶室「擁翠亭」を見学する機会があり、それをきっかけに小堀遠州という人物そのものに興味を持ち、今回の見学に至りました。
大宮御所の御車寄や御常御殿の外観を拝見し、土塀に設けられた小さな潜り戸をくぐると、そこには、ここが京都の中心であることを忘れてしまうような、静かな庭の風景が広がっていました。庭の北と南にある池は、もともとは別々の庭だったものが、後に繋げられたものだそうです。そのため、一つの池でありながら、北と南とでまったく異なる表情を見せ、二つの世界が連なっているように感じられる点が、とても印象的でした。
庭の中には、又新亭(ゆうしんてい)と醒花亭(せいかてい)という二つの茶室・茶亭があります。醒花亭は現在改修中でしたが、茅葺と柿葺の屋根を持つ又新亭は、庭の風景に自然に溶け込み、庭園全体の世界観を静かに支えているように見えました。桜、つつじ、藤、紅葉と、季節ごとにまったく異なる景色が現れるのだろうと思うと、また時期を変えて訪れてみたくなります。
かつては事務所への通勤路として、毎日のように目にしていた築地塀。その向こう側の世界と、塀の内側の世界が、今回初めて自分の中で重なりました。長年、境界としてしか認識していなかった塀が消え、ひとつの連続した風景として立ち現れたような、不思議な感覚が静かに残る一日となりました。





