韓国の伝統建築を巡る旅-4

2025.10.19

河回村(ハフェマウル)と並んで両班の村として知られる良洞村(ヤンドンマウル 양동마을)は、500年ものあいだ月城孫氏(慶州孫氏)と驪江李氏(驪州李氏)この二つの氏を持つ人びとが暮らし続けてきた同族村である。北に雪蒼山、そして西に安楽川。緩やかな丘陵に寄り添うように家々が点在し、それらを結ぶ道も、家を囲む塀も、どこか柔らかな曲線を描いている。その曲線の重なりが、風格のある両班の家屋や書院、そして茅葺きの親しみ深い民家とともに、この村独自の景色をつくりあげている。

村には朝鮮王朝時代から続く家屋がいまも数多く残っている。年表に記された最も古い家は1459年に遡ると言われ、その時間の重みに驚く。高低差のある敷地に、眺望の良い大きな屋敷がゆったりと構え、周囲には茅葺きの家が点在する。村の入口には小学校があり、日常の生活がこの古い時間と同居している。文化財として公開されている家以外は、今も人々が暮らし、息づいている。

曲線の塀に沿って歩くと、塀に絡まるかぼちゃの蔓がそのまま景色の一部となっていた。蔓は塀とともに伸び、ところどころに大きなかぼちゃが丸く横たわる。畑と庭、生活と風景が分け隔てなく続いている。

それぞれの家には、夏の空間である、半屋外の空間がある。屋根はあるが壁はない、風と光だけが通り抜ける場所。そこに身を置くと、丘の稜線や畑の色、瓦屋根の連なりが静かに広がり、視線はゆっくりと遠くへと流れていく。建物が風景を切り取り、風景が建物へと入り込んでくる。

ゆるやかな坂道を上り下りしながら、家々と風景の重なりを眺め、しばし立ち止まっては想いを巡らせる貴重な時間となった。

次に訪れるときには、ぜひこの村の民家に泊まりたいと思う。

なお、香壇(ヒャンダン)は現在非公開となっており、入口付近までしか入れないので、訪問の際はご注意を。