2017-11-29
山口さんは奈良の税理士さん、ご自宅は以前に私が勤めていた事務所の設計で、その担当者としてお仕事したのが出会いです。
その当時は、大手の税理士事務所で働かれていましたが、ご自宅の完成後数年して退社され独立されました。根っからの建築好き、そしてご自宅を建てたことで、若くして普請道楽が開眼してしまったようでした。
山口さんから久しぶりに、「吉田さん、お忙しいですか?近々、飲みに行きませんか。」とお誘いを受け、その際に、独立に至った話や、住宅の様なオフィスを作りたい話を伺いました。
いざ、賃貸契約されたオフィスという場所に伺うと、カラオケルール、そしてバーだった歴史をそのままに感じさせる場所、薄暗く、全ての内装が黒ということもあり、かなりの不安がよぎったのを思い出します。
空間の構成は、2カ所ある入口を結ぶようにエントランス空間を設け、ちょうど民家の土間のような中間的なスペースを確保しています。
オフィス空間に入ると、家具によって、左右にデスクスペースと打ち合わせスペースを分けています。打ち合わせスペースは、住宅のダイニングの様に、キッチンと関連してこのオフィスの中心となるように計画しています。
建築設計と共に、台所、什器、大テーブルや椅子、ベンチや建築金物もデザインし、仲間の職人さんや工芸作家さんに製作をお願いし、建築をこよなく愛するクライアントと楽しみながら、一緒につくったオフィスとなりました。
施工:羽根建築工房 現場監督 羽根信一氏 荒川香葉氏
設計:ikken設計室 吉田隆人、担当 入江美那子
家具:テーブル+椅子 大西仁氏
台所 ikken家具工房 山中清雄
什器 羽根建築工房
照明デザイン:ニューライトポタリー
写真:雨宮秀也