Note
京町家の中でも古いと言われる厨子二階の町家、土壁の通り庭に、屋根の小さな明かりとりからの神秘的な光が印象的であった。工事の難しさは初めて入った時から予想されたが、それ以上にクライアントと共にこの町家に魅力を感じた。長年、人が住んでいなかった為、かなり痛んだ状態で、工期の半分は建物の補修に要することとなる。
カウンター12席の他、デザートを食べるスペースが12席、合計24席、ピザ釜、キルンの他、厨房機器を小さな空間の中にどのように収めるか、それでいてクライアントからの話であった、食事が終わった後、心に残る映画を観終わったような感覚を得て欲しいという要望。食事と共に感じる空間の豊かさをどのように建築として表せるかを、クライアントと共に現場にて考え続けた。基本的な構成は、町家の「通り庭」や「中庭」といった要素を活かす配置で、直ぐに決定、その後クライアントの価値観を丁寧に確認しながら、それにセッションするように丁寧に細部を作っていった。